【短編オリジナル小説】スカウト待ちの少女に声をかけられて、俺の人生変わりそうです。 vol.1

街中。スカウトマン(男)は今日もタレント(女)の卵を探す。

すーーすーーーすーーー。
何度となく同じ少女が目の前を右左と移動しているのに気づく。

男 見間違えか。迷子か。
女 すーーすーーーすーーー。

とうとう口にしだす効果音。

男 あの、すみません。
女 はい!(嬉々として微笑む)

男 何のつもりですか?
女 何のつもりですかって、どういう意味ですか?
男 えーと、さっきから君、ボクの目の前を行ったり来たりしてない?
女 これは新手のナンパですか?
男 質問を質問で返さないで。
女 私に興味を持ったりしてません?
男 いろいろな意味で興味というか怖いよ。
女 やだやだ、たった一度見ただけで魅了してしまう私の美しさが怖いだなんて。
男 言ってない言ってない。
女 ここでお兄さん、あれでしょ、たくさんの女性に声かけてましたでしょ。
男 それでナンパだってこと?
女 違う違う。話は最後までき・く・こ・と。

男、こめかみを押さえる。

女 「君、ちょっと話を聞いてくれないかな。テレビとか映画とか興味ないかな?」
男 ボクの真似?

女、しーっと指先を唇に当てる。

女 「いやぁ、ボクさ、キミを見たときからこれはもう声かけないといけないっていう使命感?が湧いちゃってね。もしかしたらビートたけしとかにも会えるかもよ。タモリやさんまにも会えるかもよ」
男 なんで御三家?
女 しーーーーーー!

男、黙る。

女 「だからさ、もし興味があったらさ、うちの事務所で仕事してみない。有名になってみない!」

男、黙って見守る。

女 感想は?
男 いや、まあ大体は合っているようないないようなだなぁと。
女 私はね、もう分かっちゃったんですよ。貴方の正体が。
男 正体?
女 あなた、スカウトマンさんですよね!?
男 えーと、別に隠していることでもないので、答えはイエスですけど。
女 やーーーっぱり。ということで私をあなたの事務所に所属させなさい。

男、ふと空を見上げる。今日もいい天気だ。

続く。

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