日本アカデミー賞受賞、杉咲花・宮沢りえの「湯を沸かすほどの熱い愛」、テーマはファミリーの絆!

2016年の10月に公開され、今年に入っても上映されている「湯を沸かすほどの熱い愛」日本アカデミー賞も受賞した作品ですが、受賞後に見ても泣ける傑作です。忘れかけた家族愛を再度見つめ直す良い機会になります。

母親の愛と女性を取り巻くどうしようもない人間たち

主人公の幸野双葉を演じた宮沢りえをはじめ、個性豊かでほんわかした人たちがキャスティングされていて、映画を観るものを楽しませてくれます。少しだけ笑いもありますが、後半になるにつれて、涙に代わっていきます。母親を取り巻く男たちがどうしようもない人物ばかりなんですが、全てを包み込むような愛情でしっかりとまとめてくれています。
失踪した夫はオダギリジョー、一人娘の阿澄は杉咲花、ヒッチハイカーの青年には松坂桃李、監督・脚本は『チチを撮りに』の中野量太です。

銭湯「幸の湯」が舞台

映画のタイトルのとおり、舞台は銭湯です。「幸の湯」は、夫のオダギリジョーが失踪し、一年前から暖簾を下げたままの状態でした。貼り紙に立派な文字で休業の理由が書かれているので、最初から笑いがおきます。
一人娘の阿澄(杉咲花)も、学校でいじめられる毎日です。学校でのいじめのシーンではあっと驚くようなシーンで解決していきますが、映画のなかでも印象に残るシーンです。
双葉は、パートの仕事中に倒れ、病院で余命宣告を受けます。

衝撃の事実を伝える旅

双葉は、蒸発した夫、一浩を探し出します。ここでも修羅場が待っています。ところが、一浩にはもう一人の娘、鮎子がいて、4人での生活がスタートします。ここでは、双葉が余命わずかだということは誰も知りません。これだけを見ると、お父さんも無事戻ってきて、なぜか家族も増えて、幸せな家庭が始まる、と思うのですが、双葉は余命僅かです。双葉は生きている残り時間をかけて、無理をしてでも、家族一人一人を自立させようと旅に出ます。そこでは衝撃の事実が伝えられます。

最初は家族じゃなくても

双葉は普通の母親でしたが、決して強い母親ではなく、どうしようもない旦那と一緒に暮らしており、自分自身にも暗い過去があり、その過去を受け入れるためのある行動に出ます。
旅先で偶然出会ったヒッチハイカー向井拓海(松坂桃李)、言葉を話せない女性との再会、など、双葉が死ぬ前に次々と事実が明らかになり、最後は家族じゃなかった人たちも一つにまとまっていきます。
映画を最後まで観た後に、これから亡くなろうとする人との大切な時間、どのように過ごすのか、その関わり方を考えさせられます。

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