【短編オリジナル小説】ハリガネハチマキの明日は来ないと思え vol.2
ショートコント「渋滞」 全く前方の車は動く気配がしない。イライラが募る運転をしている夫と、 ポップコーンを食べ続けている妻という設定。 夫:張本 妻:荒巻 前回はこちら ハンドルを指でノックしている夫。 ポップコーンを食…
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ショートコント「渋滞」 全く前方の車は動く気配がしない。イライラが募る運転をしている夫と、 ポップコーンを食べ続けている妻という設定。 夫:張本 妻:荒巻 前回はこちら ハンドルを指でノックしている夫。 ポップコーンを食…
街中に立ってスカウトをしていると、妙な少女にからまれることになった。 前回はこちら 女「私をあなたの事務所に所属させなさい」 男「断る」 女「なんでですか?」 男「なんでですかってなんですか?」 女「私ですよ」 男「だか…
人にノートを貸すというのは裸を見られるのとは違うけれど、やはり恥ずかしいものだったりする。 前回はこちら 数学のノートを貸してほしいんだけど、と昨日の授業の終わりにタカナシくんに言われた私は まさに机の中にしまおうとして…
僕は勉強ができない。中でも数学というのは苦手すぎて笑えるほどだ。 なので僕は二階堂さんにノートを借りて帰ることになった。 前回はこちら 想像通りのきれいな文字と数字、几帳面な図が描かれている。 まさしく二階堂ワールドが展…
玄関先にビニール傘を置き、上着をハンガーにかけて吊ったところで 否応なく押し寄せた疲れを受けて、私はソファに身を沈めた。 前回はこちら 結婚すると約束をした君、その約束をなかったことにしてくれと言った私。 赦されないこと…
万引き犯の妹は椅子にちょこんと座り、一点を見つめていた。 前回はこちら 「お前さ、さっきから何見てんの?」 「成分表示」 「えーと、さ。今の状況分かりながら紅茶の成分表示見てるとしたら、 お前、すごいよ。さすがだよ」 「…
放課後、タカナシくんは私の指示に従って帰宅せず教室に残ってくれた。 日直の熊井さんまでが残ったのは予想外だったけど。 前回はこちら 「心を開くにはどうすればいいと思う?」 とタカナシくんは言った。 「積極的に話しかける。…
二階堂さんは今日も凛としていた。 次の授業の準備もせずに。 前回はこちら 「ねえタカナシくん」 一瞬自分の名前を二階堂さんが呼んでいることに全く気づかなかった僕。 「無視されてるのかしら、タカナシくんに」 という声で漸く…
美冬ちゃんのビニール傘を持った私は彼女が濡れないようにと傘の位置を探った。 前回はこちら 傘を持たないこと、多いんですか?」 「いや、まあ、なくはないさ」 「奥さんに迎えに来てもらえばいいじゃないですか? ずぶ濡れで帰っ…
反省の色を見せない万引き犯の妹を前にして、兄である俺は、言葉を探していた。 「お前さ、今いくらあるの?」 「かつあげですか?」 「なんでそうなる。所持金でここにある紅茶、買って帰れない?」 俺達の目の前には妹が万引きした…
寂れた町だよね。街っていうか町って感じだよね、 って同級生が話しているのを不図私は思い出した。 わからないわけじゃないけど、ここで生まれてここで育った私としては、 なんだかそれって自分自身の故郷というかアイデンティティを…
休みの日に商店街をプラプラしていると、うっかり僕は二階堂さんに出会ってしまった。 寂れた感じのシャッター商店街とまではいかないけれど 活気があるような場所でもない。 出来れば二階堂さんの休日はバレエを見に行くとか、 楽団…
駅の軒下。滴る雨。 私の隣で微笑む少女は私のことを「お兄さん」と呼んだ。その笑顔はとても……。 前回はこちら 「美冬ちゃん。今から?」 「はい。これから出勤です」 私の勤務時間は18時までで、これから誰も待つ者のいない部…
夕方。街がオレンジに染まっている。この時間が私はとても好きだ。 電車の窓に映る自分を見る。時として窓は鏡になる。 其処に映し出されている私はとても疲れているように見えた。 「鉄仮面みたいだよね」と陰口を言われているのを迂…
電車に乗ると所謂狛犬ポジションと呼ばれているドアすぐ横の場所に二階堂さんは立っていた。 二階堂さんは決してあだ名でもなく、名前でもなく皆から「二階堂さん」と呼ばれていた。そう呼ばなくてはいけないオーラを彼女はフルに発散し…
いつも思うことだ。手に提げている傘が邪魔だってこと。 前回はこちら 雨が降っているものの傘を使うのは家から最寄り駅までで、会社と駅の間は地下道を通るため傘を開くことはない。何とも忌々(いまいま)しい傘。二文字というのも気…
何が不満だったのか。俺は万引き犯を目の前にして考えていた。 万引きしたものは「レモンティー」「ストレートティー」「ミルクティー」を一本ずつ。何処ぞでティーパーティーでもやるつもりか。ティーパーティーでも。 「何か言ったら…
問題があったとすればそれは私だったのだろうと妻が置いていったティーカップを迂闊にも落として割りながら思うある日の朝。 こんなことを考えるのはそもそも何回目だろうか。何個割ったのだろうか。 そのような数を数えているほど暇で…
街中。スカウトマン(男)は今日もタレント(女)の卵を探す。 すーーすーーーすーーー。 何度となく同じ少女が目の前を右左と移動しているのに気づく。 男 見間違えか。迷子か。 女 すーーすーーーすーーー。 とうとう口にしだす…