【舞台用語】第二回:舞台装置を組むときの基本・ひな段とは?右も左も分からない役者からの卒業!

こんにちは!元劇団員のノナです。

舞台用語の中には、日常生活の中ではあまり使われないような、摩訶不思議な名前が付いているものが数多く存在します。
全4回にわたり、そんな「どうしてそんな名前?」な舞台用語を解説していきます。
第2回は、舞台上の装置に関する用語を解説します。

舞台上に段差を作る「ひな段」

クラシックのコンサートなどで、オーケストラの後ろの列が高くなっているのを見たことはありませんか?
まるで「おひなさま」の段飾りを思わせるようなあの段は「ひな段」と呼ばれています。

ひな段は「平台」と呼ばれる台と、それを乗せるスタンドの役割をする「箱馬」または「開き足」を組み合わせて作られます。
このひな段の高さは、厚さ4寸の「平台」と高さ3寸の「角材」、合計の高さが7寸の「ゼロナナ」が一般的で、平台を乗せる角材や箱馬の組み合わせによって「シャクヨン」「ニイチ」「ニハチ」など、7種類のバリエーションがあります。

3つのサイズがある「平台」

ひな段を作るための「平台」には3種類のサイズがあり、それぞれ横3尺×縦6尺のものを「3×6平台(サブロク)」、横6尺×縦6尺のものを「6×6平台(ロクロク)」、横4尺×縦6尺のものを「4×6平台(ヨンロク)」と呼びます。

「4×6平台(ヨンロク)」はあまり頻繁に使われることはありませんが、「3×6平台(サブロク)」と「6×6平台(ロクロク)」はよく使われるため、覚えておくと「そのサブロク動かして!」「ロクロクの前まで移動して!」などと言われた時に慌てずに済むでしょう。

平台を乗せてひな段を作る「箱馬」「開き足」

平台を乗せるスタンドには「箱馬」と「開き足」があります。

「箱馬」の一般的なサイズは「6寸×1尺×1尺1寸」と、それぞれの辺の長さが異なっています。
そのため、置く時の向きを変えることによって高さを変えることができます。
(ホールによってサイズが違っていることもあります。)

「開き足」は、上部を金具で固定されハの字型に開く構造になっている木製の台で、箱馬と比べて安定しているのが特徴です。
平台と合わせて2尺1寸(約63cm)となる「中足(ちゅうあし)」と、平台と合わせて2尺8寸(約84cm)となる「高足(たかあし)」の2種類があります。
また幅は、3尺と6尺の2種類です。

尺貫法

ここまでの説明でお気付きの方も多いと思いますが、舞台用語では日本古来の長さや体積などの単位である「尺貫法」が使用されています。

尺貫法では
・1分=3mm(10円玉2枚くらいの厚み)
・1寸=3cm(親指の第一関節くらいの長さ)
・1尺=30cm(指先からひじくらいまでの長さ
・1間(けん)=180cm(おおよそバスケットボール選手くらいの伸長
となりますので、覚えておくと便利ですよ。

まとめ

舞台上の装置などの段差を作るための台を「ひな段」と呼ぶ。
「ひな段」は基本的には、「平台」とスタンドの役割をする「箱馬」「開き足」を組み合わせて作られる。
舞台用語では「尺貫法」が使われているため、覚えておくと便利。

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