【短編オリジナル小説】きょうの二階堂さん、きのうのタカナシくん vol.28
あの日に出来た傷は未だに私の体に残っていて、擦り傷ってそんなに治るのが遅いんだっけ、これが年を取ったということなのかしら、と馬鹿なことを考えながら通学する私。 前回はこちら 教室に入ると真っ先に目に飛び込んできたのはタカ…
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あの日に出来た傷は未だに私の体に残っていて、擦り傷ってそんなに治るのが遅いんだっけ、これが年を取ったということなのかしら、と馬鹿なことを考えながら通学する私。 前回はこちら 教室に入ると真っ先に目に飛び込んできたのはタカ…
蝉の声がうるさくなったが、私の耳は美冬ちゃんの言葉を捉えてしまっていた。「どういう意味?」などと聞いてしまったけれど、どういう意味なのか理解しているつもりだ。そういう卑怯さを自分の行為ながら情けなくなる。 前回はこちら …
雨の中を走っている自分は一体なんだろうと思う。 前回はこちら 傘は何処に置いてきたんだろう。こんな雨なのに。見知らぬ人が私を見ている気がした。傘を持ちながら、持っていない私を笑っている気がした。 雨。きっとまだやまない。…
万引きをしても反省しない、リビングのソファに寝そべってホットアイマスクを使用中の女子が一人。 それが自分の妹であるという点で俺は溜息しか出てこなかった。 前回はこちら 「宿題やったのか」 俺は冷凍ピラフをレンジでチンしな…
いじられるというのはこういうことかと私はタカナシくんの言葉を受けて思った。 前回はこちら 「タカナシくんこそ私にとって未知の生き物だわ」 「それはひどいな。僕のどこが未知なのかな。雪男でもないしネッシーでもないよ僕は」 …