【舞台用語】第三回:舞台装置を組むときの基本「張物」「書割」「地絣・地絣り」「吊物」とは?右も左も分からない役者からの卒業!

こんにちは!元劇団員のノナです。

舞台用語の中には、日常生活の中ではあまり使われないような、摩訶不思議な名前が付いているものが数多く存在します。
全4回にわたり、そんな「どうしてそんな名前?」な舞台用語を解説していきます。
第3回は、大道具に関する用語を解説します。

張物(はりもの)

木材で作った枠組みに、ベニヤ板や紙・布などを張り、採色を施して作るモノです。
大道具の基本になるもので、これを組み合わせてセットを作ります。
背景などに使われることが多いです。

書割(かきわり)

背景や前述の「張物」などに、風景・家具・建物などの絵を描き込んだものです。
例えば「眠りの森の美女」などの王殿の中、「ジゼル」の森、「ドン・キホーテ」の街の風景などは、全てこの「書割」です。
いくつかに分解して持ち運ぶことができることから、この名前がついたと言われています。

ちなみにこれらを描き込むことは「書き割る」といいます。

地絣・地絣り(じがすり)

舞台の床一面、または台上の天板に引く布などをこう呼びます。

劇場の床は、通常は木でできています。しかし作品の舞台となっている場所の設定によっては、床を「土の地面」や「コンクリート」に見せなければならないこともあります。そんな時に、床面を布で覆ってそのように見せる、というわけです。

ダンスの公演や、作品中にダンスがある場合などには、布の代わりに「リノリウム」が敷かれることがあります。
また「パンチカーペット」と呼ばれる毛足の短いカーペット素材が使われることもあります。

吊物(つりもの)

「美術バトン」と呼ばれる、天井から吊るされた鉄製のパイプに吊り込まれる大道具や幕などを、総称してこう呼びます。
「◯◯フェスティバル」などの公演名を書いた釣り看板なども、この「吊物」に含まれます。

吊物の転換などの操作は、全て舞台操作盤、又は舞台袖にある「網元」と呼ばれる操作スペースで行います。

このような吊物や、照明機器、音響機器などをバトンに固定することを「吊り込み」と呼びます。
また吊物の舞台装置や照明機器を上げ下げすることを、「飛ばす・下ろす」と言います。

大道具に吊物がある場合は、事故防止のために重量を正確に把握しておきましょう。

まとめ

  • 舞台の地面・背景などに使われる大道具は、舞台の設定を作り上げる上で重要な役割を果たすものが多い。
  • 床に敷く「地絣」には、ダンスの公演やダンスシーンのある作品では「リノリウム」が使われることもある。
  • 「吊物」は、事故防止のため重量を正確に把握する。

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