【短編オリジナル小説】スカウト待ちの少女に声をかけられて、俺の人生変わりそうです。 vol.2

街中に立ってスカウトをしていると、妙な少女にからまれることになった。

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女「私をあなたの事務所に所属させなさい」
男「断る」
女「なんでですか?」
男「なんでですかってなんですか?」
女「私ですよ」
男「だから?」
女「こんなにかわいい子、もうここを通りがかりませんよ」
男「そういうこと大声で言わない」
女「ちなみにまともな芸能事務所さんですよね? 今更ですけど」
男「まともですよ。詐欺とかじゃないですから」
女「名刺、頂けますか?」
男「なんで?」
女「確認のためです」

男、しぶしぶ名刺を一枚女に渡す。
女、喜々として受取り、名刺を眺めている。

女「あ、この事務所の名前、聞いたことありますよ」
男「あ、そう。ありがとう」
女「最近新人募集されていますよね」
男「よくご存じで」
女「何か事務所的にありました?」

男、この少女、鋭いところがあるなと思う。

男「別に。基本的に新しい原石はずっと探しているからね」
女「誰か見つかりました? 原石」
男「慎重になりすぎているからかもしれないけど、まだだね」
女「なるほど。ということで本日からお世話になります!」
男「何故そうなる」
女「これはもう堂々巡りですよ。立ち話も何ですからそこのルノアールにでも」
男「ルノアールって君…」
女「私、今日賭けて来ているんです。私の話も聞いてもらえませんか」
男「賭けてるって言われてもね」
女「じゃあドトールでもいいです」
男「そういうことじゃなくてね」
女「じゃあどこだったらいいんですか?」

男、冷静に少女を観察した。
『磨けば光る熱意ある若者を探せ』という社長の言葉が思い出された。

女「これも何かのご縁ですよ、きっと」

そういう少女に男は妙な好奇心を持ち始めていた。

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