【短編オリジナル小説】ハリガネハチマキの明日は来ないと思え vol.9

ショートコント「デリバリー」

風邪を引いて寝ている坂本のもとにやってきたピザ屋の配達人。しかし。…

【キャラ】
ピザ屋役:荒巻
坂本役:張本

前回はこちら

坂本「(体温計を見て)ああ、まじか。やっぱ数字見ると熱あることを認識するよなぁ。こんな時に看病に来てくれるのは、……いねぇなぁ」

ドアチャイムが鳴る。

坂本「こんな時に誰だよ。はーい」

ドアを開ける坂本の前にはピザ屋の配達人。

ピザ屋「お待たせ致しました。ドントコイピザです。ご注文の品お持ち致しました」
坂本「はぁ? えーと、なんですか?」
ピザ屋「お待たせ致しました。ドントコイピザです。ご注文の品お持ち致しました」
坂本「頼んでませんけれど」

ピザ屋、表札と注文用紙を見て、頷く。

ピザ屋「えーと、ご注文のマルゲリータになります。お代は2,700円になります」
坂本「だから話を聞けって」
ピザ屋「はい」
坂本「見ればわかると思うけれど、俺病人。ピザ頼むほど元気じゃないってわかるよね?」
ピザ屋「えーと。わかりません」
坂本「38度超えてるの。とにかく注文してないから帰ってくれないかな?」
ピザ屋「それは出来かねます。注文されていないと言われてもここに証拠が」
坂本「じゃあ、それ見せてよ。俺、ホントに頼んでないからさ」
ピザ屋「それは出来かねます。私が確認しましたから」
坂本「ん? 何で見せられないの?」
ピザ屋「見せたところで何も変わらないので」
坂本「変わらないならいいでしょ」
ピザ屋「個人情報ですから」
坂本「俺の、だろう」
ピザ屋「ええ、まあ。そうなんですけどね」
坂本「自分の住所と名前が書いてあるものをみて、何が悪い」
ピザ屋「悪いわけじゃないんですが。ひとまずこれ中に入れてもらっていいですか」

とピザを渡そうとするが坂本受け取りを拒否する。
※この渡す、受け取らないのやり方次第では面白い画を作れるかもしれません。

ピザ屋「困ります。冷めますから」
坂本「困るのは俺。冷めるのは知らないよ。だって他の人でしょ、これ注文したの」
ピザ屋「今からじゃあ」

ぴたっと止まる二人。

坂本「今からじゃあ?」
ピザ屋「ご注文頂いたマルゲリータです。とにかくここに置きますね」
坂本「置くなぁ! あ、熱が出てきた」
ピザ屋「それは大変です。美味しいもの食べてですね、元気になって下さい」
坂本「食えるほど元気じゃないんだって」
ピザ屋「明日には元気になりますよ」
坂本「医者じゃないだろう。頼むから帰って」
ピザ屋「分かりました。私が看病しますから」
坂本「帰れ」
ピザ屋「百歩譲って私お金払いますから。これ私のおごりでいいですから」
坂本「間違えたことを認めるわけな」
ピザ屋「ええ。今度しくじったらクビだって言われてて、なので」
坂本「わかったよ。じゃあ、それ置いて帰れよ」
ピザ屋「ありがとうございます。では2,700円になります」
坂本「帰れ!」

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