【短編オリジナル小説】スカウト待ちの少女に声をかけられて、俺の人生変わりそうです。 vol.12(最終話)
芸能マネージャーを始めた頃、この事務所で使っていたのは日産のブルーバードだった。確かあの車種はだいぶ前になくなったと聞く。時代の流れには逆らえないし、その分時間が経過したのだと寂しくも思う。 前回はこちら 後部座席でふて…
人生に喜びを、心に感動を。脚本家集団が送るエンタメディア
芸能マネージャーを始めた頃、この事務所で使っていたのは日産のブルーバードだった。確かあの車種はだいぶ前になくなったと聞く。時代の流れには逆らえないし、その分時間が経過したのだと寂しくも思う。 前回はこちら 後部座席でふて…
一度きりの人生とは言ってもチャンスが訪れる人間と訪れない人間はいる。朱乃にはもしかしたら訪れることはなかったかもしれないチャンスがやってきたのかもしれない。 前回はこちら 俺は給湯室で洗い物をのんびりやっている朱乃に社長…
朱乃を指名してきた映画監督、西條啓二とは一度だけ現場で話をしたことがある。腰の低いいつもにやにやと笑っているような優男だ。俺は嫌いじゃない。 前回はこちら 「いいんじゃないですか」 「無責任な」 「社長が言い出したことじ…
「え、行かないの?」と社長の薫子さんが俺が電話を切ってのんびりとスイカを食べ始めたのを見て言った。そう、俺は行かないのだ。 前回はこちら 「え、なんで行かないんですか?」と朱乃までがスイカを食べながら言い始める。もしそれ…
俺は木刀を杖のようにして身体をもたせながら、「なにもしないで下さいね」と言って帰って行く所属女優の莉緒を見送った。 前回はこちら 「いいんですか、帰しちゃって」という朱乃はコーヒーカップを片付けながら言った。 「いいんで…
「あの、どうやら私、ストーカーされてるみたいなんですよ」と所属タレントが言った場合、事務所の人間はどういう顔をすればいいのだろうか。 前回はこちら 静まり返る社内、テーブルに置かれるティーカップが音を立てる。 「織田」と…
あれからどのぐらいの月日が経っただろうか。 お盆の上に湯呑みを3つ載せてやってくる朱乃を見ながら思い返したこと数秒。 ま、大した事じゃない。 前回はこちら 事務所のアルバイトとして朱乃を雇うことになったわけだが、当初はお…
ひとまずオーディションが終わり、自称原石・朱乃が「どうでしたか?」と言いたそうにそわそわしている。 前回はこちら 織田と薫子はひとまずそれを無視して、貰い物の紅茶を啜る。 朱乃「あの、すみません。紅茶はいいとして、どうだ…
原石かもしれないと自分を納得させてその少女を事務所まで連れてきてしまった男。 果たして。…… 前回はこちら 社長の大月薫子がマグカップでコーヒーを啜りながら二人を見ていた。 薫子「誰?」 女「原石です」 薫子「ゲンセキさ…
街中に立ってスカウトをしていると、妙な少女にからまれることになった。 前回はこちら 女「私をあなたの事務所に所属させなさい」 男「断る」 女「なんでですか?」 男「なんでですかってなんですか?」 女「私ですよ」 男「だか…
街中。スカウトマン(男)は今日もタレント(女)の卵を探す。 すーーすーーーすーーー。 何度となく同じ少女が目の前を右左と移動しているのに気づく。 男 見間違えか。迷子か。 女 すーーすーーーすーーー。 とうとう口にしだす…